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夜空に隠された科学の魔法

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夏の夜空を彩る花火。「ヒュー」という音とともに上がった火の玉が、「パッ」と開いて美しい光の花を咲かせ、少し遅れて「ドーン」という音が響く。毎年見慣れた光景ですが、そこには驚くべき科学の世界が隠されています。

なぜ音は光より遅れて届くのか

花火を見ていると必ず気づく現象があります。光が見えてから音が聞こえるまでの時間差です。これは光と音の進む速度が大きく異なることが原因です。

光の速度は1秒間に約30万キロメートル。これは地球を7周半する驚異的なスピードです。一方、音の速度は1秒間に約340メートル。光に比べると、実に88万分の1という遅さなのです。そのため、花火が開いた瞬間の光はほぼ同時に私たちの目に届きますが、音は遅れて耳に届くことになります。

この時間差を利用すれば、花火までの距離を計算することも可能です。光が見えてから3秒後に音が聞こえた場合、「3秒×340メートル=1020メートル」となり、約1キロ先で花火が上がっていることが分かります。5秒なら約1.7キロ、10秒なら約3.4キロという具合です。

推理小説や映画では、この原理を使って監禁場所を特定するシーンがよく登場します。雷鳴でも同じ原理が働いており、稲光が見えてから雷の音が聞こえるまでの秒数で、雷雲までの距離を推測できるのです。

色とりどりの花火に秘められた化学の世界

花火の美しい色は、すべて「炎色反応」という化学現象によって生まれています。火薬に混ぜ込まれた金属化合物が高温で燃焼すると、それぞれの金属が固有の波長の光を放つのです。

赤色はリチウムやストロンチウムの化合物、青色は銅の化合物、緑色はバリウムの化合物、黄色はナトリウムの化合物、紫色はカリウムとストロンチウムの混合、白色はマグネシウムやアルミニウムの化合物が使われています。金色や銀色は、炭素や鉄の粉末が光を反射することで表現されます。

この炎色反応は、中学校の理科の授業で学んだ記憶がある方も多いでしょう。実は家庭でも簡単に観察することができます。食塩(塩化ナトリウム)をガスコンロの炎に少量振りかけると、オレンジ色の炎が現れます。これは花火の黄色と同じナトリウムの炎色反応です。ただし、実験する際は十分に換気を行い、安全に注意してください。

特に青色の花火は「花火師泣かせ」と言われるほど技術的に困難です。銅の化合物は高温に弱く、温度が高すぎると色が飛んでしまい、低すぎると発色しません。そのため、美しい青を出すには熟練の職人技が必要なのです。次に花火大会で鮮やかな青色を見かけたら、その背後にある高度な技術を思い出してください。

参考:キヤノンサイエンスラボ・キッズ「花火の色のひみつ」
https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_04_11.html

参考:日本化学会「家庭でトライ!! キッチンで炎色反応」
https://kdc.csj.jp/learning/item_1081.html

日本を代表する花火大会の技術

日本三大花火大会のひとつである長岡花火大会では、この炎色反応を駆使した壮大な演出が見どころです。中でも「正三尺玉」は直径約650メートルもの大輪の華となり、打上げ幅約2キロメートルに及ぶ「復興祈願花火フェニックス」では、夜空を埋め尽くすほどの大型花火が連続して打ち上げられます。

隅田川花火大会でも、伝統的な「和火」と呼ばれる炭を主原料とした花火から、最新の色彩技術を使った創作花火まで、多様な花火を楽しむことができます。これらの花火大会では、単に花火を打ち上げるだけでなく、音楽との同期や物語性のある演出など、総合的なエンターテイメントとして進化を続けています。

参考:長岡花火公式ウェブサイト
https://nagaokamatsuri.com/

天候条件が花火の見え方を左右する

花火の美しさは、実は天候条件に大きく左右されます。風が強いと打ち上げ後の煙が流れて視界を遮り、連続して打ち上げられる花火が見えにくくなります。逆に無風状態だと煙が滞留してしまい、これもまた視界を妨げる原因となります。理想的なのは、弱い風が一定方向に吹いている状態です。

湿度も重要な要素です。湿度が高いと空気中の水蒸気が光を散乱させてしまい、花火の色彩が鈍く見えたり、輪郭がぼやけたりします。乾燥した夜は光の散乱が少ないため、クリアで鮮やかな花火を楽しむことができます。

また、周囲の明るさも観賞条件に影響します。街灯の多い場所や満月の夜は、花火の色彩が周囲の光に負けてしまい、コントラストが低下します。暗い場所で見るほど、花火の発色は鮮明に見えるのです。

花火大会に出かける際は、天気予報で風速や湿度もチェックし、可能であれば風上の位置や周囲の明るさも考慮すると、より良い観賞体験が得られるでしょう。

環境に配慮した未来の花火技術

現在、花火業界では環境への配慮と表現の革新を両立する技術開発が進んでいます。従来の火薬は燃焼時に多くの煙や残渣を発生させますが、低煙・低残渣の新しい材料の研究が行われています。また、有害物質を含まない環境に優しい金属化合物の開発も進められています。

デジタル技術との融合も注目されています。花火の打ち上げタイミングをコンピューター制御することで、音楽と完璧に同期した演出が可能になりました。さらに、ドローンと組み合わせた三次元的な空間演出や、プロジェクションマッピングと花火を融合させた新しい表現方法なども試みられています。

LEDを使った「光の花火」も登場しており、火薬を使わないため安全性が高く、天候に左右されにくいという利点があります。ただし、本物の花火が持つ一瞬の儚さや、火薬が燃える独特の迫力は代替できないため、両者が共存する形で発展していくと考えられています。

科学と芸術が融合する総合表現

花火は単なる夏の風物詩を超えて、化学、物理学、気象学、音響学など、様々な科学分野が融合した総合芸術です。炎色反応による色彩表現、音と光の速度差が生む時間的演出、気象条件による見え方の変化——これらすべてが組み合わさって、私たちに感動的な体験をもたらしています。

次に夜空を見上げて花火を楽しむ時は、その向こう側にある科学の世界に思いを馳せてみてください。職人たちが積み重ねてきた技術と知識、そして自然の法則が織りなす美しいハーモニーを、より深く味わえるはずです。

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